本研究の最初の目的は、画像ないし立体視カメラに基づく数値地形図から測地基準点として用いられる地形特徴を自動抽出するアルゴリズムと、その特徴への指向ベクトル情報(幾何配置と形状)を求めるソフトウエアの開発であった。それらの予備的実装が成功した。その内容は主に、クレーター自動抽出アルゴリズムと、小惑星探査機はやぶさ望遠カメラによる幾何配置未知での非同期撮像データからの形状復元手順、この2つの検討に分けられる。 前者について、欠損楕円検出方法として普及しつつある一般化ハフ変換に基づいたアルゴリズムを開発した。オリジナルのままでは重複や崩壊地形の誤認識、そして天然の乱れた構造および隣接配置に影響されて閾値を動的に決定する困難さがはっきりさせられた。しかし、最初の誤認識は認識順序とクレータ退化度判定を組み合わせることで解決され、閾値の動的生成に関する問題は全てのパラメタ空間を探索しての関連づけ&多数決で解決する目途が立てられた。後者について、コンピュータビジョンで一般的なエピポーラ幾何拘束条件下で考察し、自動抽出特徴点の位置とカメラ・対象の幾何配置、それらをロバストに同時決定する方法を確立した。現在、それができない特殊な撮像条件の絞り込みを行っている。 この経過は次に挙げる学会・研究会で口頭発表がなされ、前者は投稿準備中、後者は日本惑星科学会誌に投稿・改訂中である。計測自動制御学会SI2003講演会、衝突現象・衝突地形小研究会(神戸大学COEプログラム)、35th Lunar and Planetary Science Conference。 また、最近急激に発展している火星を除いて、必要な月惑星データの入手と整備をほぼ終えることができた。
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