[目的]:八丈島の群発地震活動に伴って観測されたおよそ10秒の振動周期をもつ超長周期地震の発生プロセスの解明を行うとともに、類似の現象が他の火山の群発地震活動にともなって発生していなかったかどうかについての探査を進め、超長周期地震とマグマ貫入プロセスと関連性を解明する。 [実施内容]:波形インバージョンなどによる解析から、超長周期地震波は八丈島の下に貫入したダイクの振動により発生していた可能性が示されていた。本研究ではF-net八丈島観測点の広帯域地震計によるデータを用いて、その振動波形のスペクトル解析を系統的に行った。 [成果と効果]:この振動波形には2つの明瞭なスペクトルピークが見られた。これらそれぞれのピークの周波数と減衰を表すQ値を、スペクトル解析法の一つである存否法により決定した。その結果、2つピークとも、超長周期地震の活動の初期に周波数およびQ値とも系統的に変化し、その後ほぼ一定の値をとっていた。活動初期の周波数およびQ値の系統的な変化は、マグマダイクの形成プロセスと関連していると推定できる。またその後周波数およびQ値がほぼ一定となっていることから、溶けたマグマに満たされたダイクがその特性を大きく変化させることなく、安定して長期にわたって存在していたことを示している。超長周期地震の波形解析により、マグマダイクの特性変化についての情報が得られることを本研究の結果は示している。
|