海底ケーブル式アレイ地震観測から得られたデータを用い、海底火山活動のモニタリングを行っている。これまでに多数の伊豆-小笠原-マリアナ海山列での活動を捉えており、その海底火山活動に伴い励起された海中音波の速度が半日周期変動している現象を見出した。本研究では、地震観測によって捉えられた海中音波速度の半日周期変動のメカニズムを解明することである。平成15年度は、数値計算により、海中音波が最も効率よく伝播する海中の低速度領域(SOFARチャンネル)が海洋潮汐に伴う内部潮汐波のM2成分の励起によってゆらいだ結果、伝播距離およびそこでの海中音波速度構造自体が周期変動するというメカニズムを提示した。このメカニズムでは、観測によって見出された、変動の振幅および位相ともにほぼ説明できる。現在、この結果をまとめ、論文投稿段階にある。 同時に、内部潮汐波の励起を観測するための差圧式水圧計の開発も進めている。これは絶対水圧計では捉えきれない微小な圧力変動を海底で検出するための測器であり、対象とする内部潮汐波のような数センチメートルオーダーの変動量を検出することは可能であることが期待され、これに挑戦する。当初、既存の同等な計測システムを改良することを考えていたが、入手不可能であったため、独自に開発、製作することに変更した。現状では、センサー素子の選択、レコーダーの開発に留まっており、今後は、システムを構築し、実験室における試験を重ね、来年度10月には、海底での観測を試みる予定である。
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