研究概要 |
今年度はこれまで我々が用いてきた火星大気二次元対流数値シミュレーションコードの基礎方程式系の見直しを行い,新たに音波を考慮した準圧縮方程式系に基づく対流数値モデルの開発を行った.これまで我々が用いてきた非弾性方程式系に基づく数値モデルは系に音波を含まないモデルである.大気の主成分が凝結する場合には凝結にともなう気圧変動が無視できないため,非弾性近似が十分に成り立つとはいえないと考えられる.基礎方程式として音波を考慮した準圧縮方程式系を用いることにより,大気の主成分が凝結する場合の対流(湿潤対流)を精度よく計算できると期待される. 現在,開発した数値モデルのコードチェックを行っている.これまでに音波の計算に必要な音波減衰項パラメータを決定し,サーマルの運動とそれにともなう重力波の伝播の計算が可能であることを確認した.今後はこの数値モデルにサブグリッドスケールの乱流モデル,大気放射モデル,大気主成分の凝結過程を導入し,火星大気における湿潤対流の計算を行う予定である.開発したモデルと関連文書はhttp://www.gfd-dennou.org/arch/deepconv以下に公開されている.
|