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2003 年度 実績報告書

大気の平衡状態の太陽定数依存性

研究課題

研究課題/領域番号 15740286
研究機関北海道大学

研究代表者

石渡 正樹  北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (90271692)

キーワード大気大循環モデル / エネルギーバランスモデル / 暴走室温状態 / 全球凍結状態 / 多重平衡解
研究概要

種々の太陽定数の値のもとにおける灰色大気の多重平衡解の調査を行った.使用したモデルは灰色大気の3次元プリミティブモデル(GCM)と南北1次元のエネルギーバランスモデル(EBM)である.地表面アルベドの値は,表面温度が結氷温度未満となる領域では0.5,そうでない領域では0とした.GCMによる数値計算の結果,太陽定数が増加するにしたがって解の種類と数は以下のように変化することがわかった.
(1)解は全球凍結解のみ.平衡解の数は1個.
(2)全球凍結解と部分凍結解.平衡解の数は2個.
(3)全球凍結解と部分凍結解と暴走温室状態.平衡解の数は2個・
(4)全球凍結解と氷無し解と暴走温室状態.平衡解の数は2個.
(5)全球凍結解と暴走温室状態,平衡解の数は1個.
(6)暴走温室状態のみ.平衡解の数は0個.
平衡解の種類と数の変化の仕方はEBMとはば同様である.ただし,遷移の起こる太陽定数の値はGCMとEBMでは異なる.
GCMで得られた部分凍結状態の氷境界緯度は22度よりも高緯度の領域に存在する.これは,EBMで議論されてきたlarge ice cap instabilityがGCMでも発生することを示唆する.EBMで求められた不安定平衡解の対応物は3次元系でも存在すると思われる.しかし,それらの不安定解は時間発展問題を解くGCM計算では得られない.氷境界が30度よりも低緯度に存在する解はEBMでは不安定となるのに対して,GCMで得られた氷境界緯度が22度である解は氷境界付近の凝結加熱によって安定に維持される.
一方,太陽定数が増大した場合にGCMで得られる氷面棟が小さい部分凍結解では,氷境界緯度の振動が見られた.これは,太陽定数増大時には安定周期解と不安定平衡点が存在することを意味しているのかもしれない.つまり,EBMで得られたsmall ice cap instabilityは,GGMではHopf分岐という形であらわれている可能性がある.

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 石渡正樹他: "灰色大気の平衡状態の太陽定数依存性:暴走温室状態から全球凍結状態まで"ながれ 別冊. 22. 156-157 (2003)

  • [文献書誌] Hayashi, Y.-Y.et al.: "Development of Atmospheric General Circulation Model for Terrestrial Planets and Related Fundamental Experiments on the Atmospheric Structures"CGER'S SUPERCOMPUTER ACTIVITY REPORT. 11-2002(印刷中). (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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