研究概要 |
昨年度行った太陽定数を変えたパラメータスタディの結果に対する考察を行うべく,南北1次元エネルギーバランスモデルを用いた数値計算を行った.用いたエネルギーバランスモデルは放射スキームを除けばNorth(1975)と同一のものである.放射スキームは,昨年度使用したGCMと同一のスキーム,Nakajima et al.(1992)の灰色大気放射スキーム,を使用した.このエネルギーバランスモデルを用いて,熱輸送係数と太陽定数を様々に変化させて大気の平衡常態を求めたところ,熱輸送係数の値によらず小極冠不安定解が得られることがわかった.これにより,昨年度行ったGCM計算で小極冠不安定が生じなかった原因は,実効的な熱輸送係数の太陽定数に依存するためではなく,3次元的な循環の存在によるものである可能性が高くなった. また,大気海洋結合モデル開発の第一段階としてデータ形式の検討・データI/Oライブラリの整備と大気モデルの力学コアの開発をおこなった.データ入出力に関しては,「gtool4netCDF規約」に従うnetCDFファイルをファイル形式として採用し,この形式を扱うためのデータI/Oライブラリgt4f90ioを整備した.gt4f90ioの内部構造を階層化することによりシンプルで分かりやすいデータI/Oインターフェースを作成することができた.力学コアの設計は,AGCM5(SWAMP Project,1998)を参照しつつFortran90の機能を活用することを念頭において行った.モデル可変性向上のために,モジュール・構造型などを用いたオブジェクト指向的設計によってモデルの内部構造の階層化を行った.ソースコードの可読性を向上するために,SPMODEL(Takehiro et al.,2004)における関数および変数命名規則の拡張を行った.
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