研究概要 |
一般化された2次元乱流系(α乱流系)の強制散逸現象に対する理論の構築と,数値実験による理論の検証を行った. 2次元Navier-Stokes乱流では,波数空間内の非局所相互作用が支配的であることが指摘され,波数空間内の局所相互作用を前提としたKraichnan(1967),Leith(1968),Batchelor(1969)により提唱された乱流のエネルギースペクトルに関するスケーリング理論(KLB理論)は破綻する.そこで,KLB理論に非局所相互作用を取り込む必要がある.このような研究は既にKraichnan(1971)やBowman(1996)によって行われ,近年の高解像度数値実験による検証によって,理論の正当性が示されている. α乱流においても,予備的な計算によるとαが2よりも大きいときには波数空間内の非局所相互作用が重要となることが示せる.そこで2次元Navier-Stokes乱流に適用された,非局所相互作用を含むエネルギースペクトルのスケーリング理論をα乱流に拡張した.その結果,α=2を境にして,エネルギースペクトルの振る舞いにドラスティックな変化が起こることが導かれた.非局所相互作用を含まないKLB理論は,慣性小領域におけるエネルギースペクトルE(k)の傾きはαの値に依存することを主張するが,非局所相互作用を取り込むことにより,α>2ではαの値に依存せずE(k)の傾きはK^<-1>となる. さらに高解像の数値実験を行い,詳細な解析を行うことによって上記の理論的予測が正しいことを証明した. 現在,上記の結果をJournal of Physical Society of Japanに投稿準備中である.
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