研究概要 |
電離層シート電流モデルをベースに、全球の任意の領域に電離層電流駆動源としての沿磁力線電流、中性大気風によるダイナモ電場を配置可能とする準静的な電離層電流全球モデルを作成し、数値実験に必要なコードを作成した。この手法は、数値モデルとしては従来から用いられているポテンシャル法と等価であるが、時間発展問題を解く際の初期値(スナップショット)を決定する上で必要な第一段階である。この数値実験の結果、高緯度領域でのRegion1電流系、Region2電流系の相互遮蔽効果により中低緯度領域でのSq電流系は、高緯度からの電磁擾乱に埋もれることなく、そのポテンシャル構造がはっきりと浮かび上がることが明らかになった。この結果は従来から行われてきた、沿磁力線電流によるポテンシャル構造、Sqのみによりポテンシャル構造の数値実験より予想される結果を覆すものであり、全球問題を同時に解くことの重要性を示唆している。 これらの結果は、ISEE2003,IAGA2003の国際会議及び、SGEPSS2003、地球惑星関連合同大会で報告され、月刊「地球」、ISEE2003のプロシーディングに学術論文として発表された。この初期値決定プログラムの妥当性は、地上多点磁場観測ネットワークデータから再現される等価電離層電流モデルの静穏時や擾乱時の振る舞いと、数値実験結果の比較により検討中であり、来年度以降開発される時間発展問題プログラムののスナップショット決定に用いられる予定である。
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