研究概要 |
本研究の目的は、琉球列島に広がるサンゴ礁とその周辺堆積物が、どのような海洋表層環境を経て現在の姿に至ったのか、定量的なデータ(δ^<18>O・δ^<13>C・アルケノン古水温計)を用いて復元することにある。その過程で、本年度は、平成16〜17年度のコア解析を効果的に実施するために、(1)δ^<18>O・δ^<13>C分析用の前処理ラインと(2)マイクロサンプリングシステムを作成に着手した。 1,前処理ラインについては、島根大学設置の前処理ラインを改良することにより、現在の設備よりも約5倍効率をあげることが可能となった。 2,δ^<18>O・δ^<13>C測定に用いる浮遊性有孔虫化石は、通常、堆積物から直接拾い出し洗浄したものを用いるが、堆積後の続成作用により固結して浮遊性有孔虫を摘出できない試料が多数認められる。摘出不可能な浮遊性有孔虫はδ^<18>O・δ^<13>C測定に用いることができない。そこで、薄片化した固結試料から堆積物粒子レベルのマイクロサンプリングによりδ^<18>O・δ^<13>C測定用の浮遊性有孔虫またはその他の化石粒子の粉末試料を採取できるよう、そのマイクロサンプリングシステムを作成した。本年度は、すでに本システムの作動テスト及びそれにより採取した粉末試料のδ^<18>O・δ^<13>C測定を実施したが、ほぼ目的にかなうシステムに仕上がりつつある。本システムは、マニュアル制御となっているが、現在、自動制御による任意箇所のマイクロドリリングができるようソフトウェアを開発している。本ソフトウェアは、エクセルのマクロ言語VBAで作成しているため、安価かつ作成後の改良も容易であるという特徴を持っている。
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