研究概要 |
化石花粉データの古気候解釈のため、房総半島における現生花粉データとして千葉県立中央博物館・生態園の舟用池において表層花粉調査を実施した。成果をJournal of the Natural History Museum and Institute, Chibaに出版した。なお舟田池底の泥土の堆積安定性をチェックするために大型鳥類の飛来状況および湖水位変動の調査を前年度に引き続き謝金にておこなった。 これと平行して、16年度に分析済みの東大海洋研掘削169m銚子コア(Choshi-1)の化石花粉群(主論文:The Island Arc誌にて印刷中)の成果に関する一般向け抄訳を千葉学講座報告集に出版した。なお同コア分析と平行して実施した千葉県飯岡町露頭の分析結果をNatural History Researchに投稿した。 これと平行して、具体的な古気候定量復元の試みとして、上記銚子コアおよび時代の類似する琵琶湖1400mコアからの化石花粉データに対して、コンピュータベースのモダンアナログ法を適用した。対比用現生試料には2002年出版の日本列島表層花粉データセット(N-285)を、使用ソフトウェアには2004年開発のPolygon ver.1を用いた。結果的に、東アジアにおける夏のモンスーン変動と日射量の2万年周期の間の顕著な相関を認め、東アジア周辺陸海の外的強制力に対する一次的な受容体としての役割を示唆した。結果は地球科学系の国際誌に投稿準備中である。 口頭発表としては、銚子コア化石花粉群の総合報告を地球惑星合同学会2005(17年5月25日)にて行った。また古気候定量復元結果の第1回報告を平成17年度基盤C第2回研究集会(18年1月29日・京都大大学院・理)にて行った。また本研究計画に関連して千葉県下総層群清川層堆積期(MIS7)の古気候状態に関するコメントを地球惑星合同学会2006にて予定している。
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