研究課題
コマチアイトマグマは数GPa程度の圧力に相当する深さで生じ、そこから地表へ噴出したと考えられている。本研究においては、コマチアイトマグマなどの超塩基性珪酸塩融体の密度をマントル遷移層の深さに相当する圧力下までの測定に成功した。実験には我々が手法を確立した結晶浮沈法を用いた。その結果、マントル遷移層ではコマチアイトマグマは、マグマと共存するガーネットの密度と等しくなることが示された。このことは、マグマが分離するための条件を規定する上で、極めて重要な重要な結果といえる。一方、粘度測定に関しては、無水コマチアイトマグマの粘度を7GPaまでの圧力下で測定することに成功した。実験にはX線影像落球法を用いた。これに際しては、高速X線CCDカメラを使用することにより、低粘度融体の測定を可能とした。実験の結果、溶融温度に沿った温度圧力条件におけるコマチアイトマグマの粘度は、圧力の増加とともに増加することが示された。このことは、低圧側ほどマグマは流動性に富むことを意味しており、これを踏まえたマグマの生成・噴出モデルを考える必要がある。さらに、コマチアイトの主要端成分であるdiopside組成融体の粘度測定を13GPaという超高圧下で行った。これは、現在のところもっとも高温高圧力下での測定記録となっている。このdiopside融体に関する実験の結果、粘度は始め圧力の増加とともに増加するが、10GPaを超えた辺りで減少に転ずることが示された。これは、先に行われた拡散係数測定からの推測とは調和的である。しかしながら、diopside融体のような非重合性融体では圧力の増加とともに粘度が単調に増加するという、従来の推測とは矛盾するため、コマチアイトマグマなどを用いて、より詳細な物性測定や構造解析などを行うことの重要性が増すこととなった。
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