研究概要 |
下部マントル条件に相当する種々の圧力-温度-酸素分圧-組成条件で合成した珪酸塩ペロブスカイトの鉄・アルミニウムの陽イオン占有席の決定および、その席占有率決定をするという目的を遂行するため、今年度は以下の点を行った。 1.電子線チャネリング効果を利用したTEM-ALCHEMI (Atom Location by CHanneling Enhanced MIcroanalysis)法で、珪酸塩ペロブスカイトやメージャライトガーネット中の鉄やアルミニウムの占有陽イオン席を解析し、国際誌に公表論文として発表した(研究発表欄に明記)。 2.フォーカスイオンビームミリング(FIB)用いて、酸化処理をした鉄薄膜試料のFe-FeO界面を選択的に薄膜化して、透過電子顕微鏡(TEM)で観察・分析を行った(日本鉱物学会で報告)。 1に関しては、電子線チャネリング効果を用いることにより、珪酸塩ペロブスカイト中の陽イオン8配位席と擬12配位席を識別して、エネルギー分散型特性X線分光(EDXS)や電子線エネルギー損失分光(EELS)ができることを明らかにした。2に関しては、サブミクロンオーダーの特定な領域を選択して、TEM薄膜試料を作成することに成功し、界面における酸化反応過程を解析できるようになった。来年度は、レーザー加熱ダイアモンドアンビルセルを用いた、下部マントル条件での(Mg,Fe)SiO_3-Al_2O_3系の珪酸塩ペロブスカイトの高温・高圧合成を行い、その回収試料に上記手法を適用して解析・議論を行い、研究をまとめるつもりである。
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