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2004 年度 実績報告書

個別有機分子の放射性炭素分析に基づく無酸素水域の成因に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15740322
研究機関独立行政法人海洋研究開発機構

研究代表者

松本 公平  独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (70359173)

キーワードバイオマーカー / 炭素同位体比 / メタンサイクル / 貝池 / 日本海堆積物 / 最終氷期 / 無酸素 / バクテリア
研究概要

無酸素水塊を伴う部分循環湖-貝池の有機地球化学的研究
貝池は鹿児島県上甑村にあり、周囲約1キロ、最大深度10mで、東端は砂州を介して海に面している。貝池の水深4m付近から密度成層花した水塊があり、バクテリアプレートと呼ばれる紅色硫黄細菌の濃集した赤い水が存在する。その層により光が届かなくなる6m以深は緑色硫黄細菌、硫酸還元菌などからなる水塊が存在する。この炭素サイクルを明らかにするために各深度における表層堆積物を採取し、バイオマーカーの定量分析、バイオマーカーの安定炭素同位体分析を行った。
この貝池表層堆積物中で、藻類、紅色硫黄細菌、緑色硫黄細菌、古細菌、新制裁金に由来するバイオマーカーを検出した。藻類、紅色硫黄細菌由来であるフィトールの炭素同位体比は藻類が主に生息する層では-26‰、バクテリアプレート以深では-30‰を示した。これは紅色硫黄細菌の成長速度が非常に遅いのと、このプレート内で二酸化炭素濃度が高いことに起因しているものと結論された。緑色硫黄細菌由来であるファルネソールはバクテリアプレート以深で検出され、概ね-30‰であった。緑色硫黄細菌は逆TCA回路と呼ばれる特殊な炭素固定回路を用いるために光合成に伴う同位体分別は小さくなり、その結果炭素同位体比は大きくなる。この-30‰は今までに例のない結果であり、水堆積物境界に於いて再無機化された二酸化炭素を用いて生合成されたものと示唆された。
日本海堆積物中のバイオマーカー分析
過去2.5万年の日本海堆積物試料のバイオマーカー炭素同位体分析を行った。この研究は氷河期における日本海に堆積した黒色層(TL層)での生物地球化学的炭素サイクルを解明することにある。TL-1(11-10ka)中の細菌由来バイオマーカーは黒色層でない層の2.6倍高い。しかしながら、これらの炭素同位体比を測定した所、ほとんど同一の値を示した(TL-1で-24.1‰、その他の層で-24.7‰)。TL-2(25-17ka)ではメタン生成菌由来のアーキオールの一種とメタン酸化細菌由来のディプロプテンが検出された。よって表記の日本海底層ではメタンサイクルが発達していたと解釈されるが、先行研究の比較では規模が小さいことから地域差が生じていることが明らかになった。この結果は未発表だが、Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology,来年の国際有機地球化学会(スペイン)にて発表予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Radiocarbon variability of fatty acids in semi-urban aerosol samples2004

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto K., M.Uchida, K.Kawamura, Y.Shibata, M.Morita
    • 雑誌名

      Nucl.Instr.and Meth.B 223-224

      ページ: 842-847

URL: 

公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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