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宇宙や核融合のプラズマには多種のイオンが含まれている。本研究では、この多種イオンの存在が、波動伝播や不安定性、輸送などにどのような影響を及ぼすかを明らかにするため、理論と粒子シミュレーションによる研究を行っている。
これまで、電流不安定性による少数イオン種の選択的加速、多種イオンプラズマ中のイオンバーンスタイン波の減衰等について、2次元の静電粒子コードを用いて詳しく調べた。そして、今年度、それらの結果を論文にまとめて発表した。
また、それらの研究をさらに発展させて電磁的効果や3次元の効果について研究を行うため、多種イオンプラズマを対象とした3次元の相対論的電磁粒子コードを開発した。高速演算に必要なコードのベクトル化と並列化、また使用する大型計算機に対しての最適化も行った。そして、このコードを用いて、熱平衡に近いプラズマ中の低周波電磁揺動のパワースペクトルと、その揺動による輸送を調べた。多種イオンプラズマでは、ω=kv_Aのモードの他に、重イオンのサイクロトロン周波数付近に波が存在し、それらのモードは重イオンの存在量が少なくても、ω=kv_Aのモードに匹敵するほどの振幅を持つことができることを示した。また、その重イオンモードの存在によって、多種イオンプラズマでは、磁場揺動が減衰し、イオンにエネルギーが輸送される場合があることを見出した。
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