研究概要 |
本年度は,高強度レーザーを用いて地球の内核の条件を再現し,そのパラメータを計測する研究を中心に行った.地球の最深部は圧力350万気圧,温度が5000〜6000℃と考えられており,これをレーザーアブレーションによる衝撃波によって達成するための条件を一次元シミュレーションILESTA-1Dを用いて行った.圧力に関しては過去の実験データが豊富にあるが,温度に関してはレーザープラズマでは比較的低温であるために全く実績がなかった.温度の絶対値は高いが、発光時間が極めて短い(1ns以下)ため,これまでの計測を改良する必要があった.このため,本年度は衝撃波圧縮された温度を計測するために,衝撃波通過後の発光(可視光)をレーザー集光スポット径の範囲に対して集光し,それをシングルモード光ファイバーで分光器に導入して分光し,色温度を計測する手法を開発した.これにより,微弱な発光を分光測定することが可能となり,衝撃波圧縮された鉄ターゲットの温度の見積もりを行うことが可能となり,ほぼ地球の最深部に近い温度が得られていることが明らかになった.この結果を基に,来年度は本研究の中心課題である地球の中心状態における音速測定に移行する予定である.
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