トーラス型磁場閉じ込め装置におけるプラズマの巨視的な振る舞い、特に自発的な構造形成を理解する目的で、プラズマの速度場に注目した実験的研究を進めている。プラズマの流れ場の構造は、プラズマ中に形成される電場の構造や、磁場の構造などに依存しており、核融合を目指したプラズマ閉じ込めの観点からも大変重要な研究課題のひとつとなっている。 本研究では、コンパクトヘリカルシステム(CHS)において、2.45GHzのマイクロ波放電による比較的低温プラズマ中で方向性プローブを用いて局所的な速度場を計測する準備を行ってきた。プローブをもちいて、3次元速度場を実験的に決定するためには、必要不可欠なものが、2次元駆動機構であり、プラズマ中のあるポロイダル断面内の任意の場所を計測しなければならない。本年度の研究においては、この2次元駆動機構の製作を行った。Z軸方向に750mmのストロークを有し、挿入角度を半径方向に26度可変な2次元駆動機構をCHSの横長外側上部に取り付けた。これにより、磁気軸1016mm配位の規格化小半径の全領域(0≦ρ≦1)で、プローブ計測ができるようになった。また、駆動機構には、ロータリーステージを組み込むことで、方向性プローブの粒子収集面を360度回転させることが可能となり、これを用いてプロープに垂直な平面内の任意の方向の流速測定を行うことが可能となった。これらを組み合わせることで、ポロイダル、トロイダル、及び半径方向の流速を決定することができる。 今後は、実際のプラズマを計測し、流速決定の実証や流れ場の測定を行っていく予定である。
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