研究概要 |
裏面の"雑誌論文"に記載した論文ごとに研究実績の概要をここに記します。 (1)Toshikatsu koga and Hisashi Matsuyama, Interelectronic angle densities of equivalent electrons in Hartree-Fock theory of atoms, Journal of Chemical Physics誌,120巻,17号,2004年,7831ページから7836ページまで (概要)電子間角度の密度A(S12)は任意の2つの電子iとjのベクトルriとrjの間の角度SijがS12になる確率密度関数である。ここで、Sijは0度から180度までの範囲にある。原子中の等価な電子について、Hartree-Fock理論での電子間角度の密度A(S12)はcos(S12)の多項式で与えられることがわかった。s^2,p^N(N=2-6),d^N(N=2-10),f^N(N=2,12)電子配置から生じる全てのLS項について、電子間角度の密度A(S12)が詳細に調査された。また、上記のことは運動量空間の電子間角度の密度B(T12)に当てはまることが示された。ここで、T12は2つの電子の運動量の間の角度である。 (2)Hisashi Matsuyama and Toshikatsu Koga, Subshell-pair interelectronic angles of atoms in momentum space, Theoretical Chemistry Accounts誌,112巻,5-6号,2004年,435ページから441ページまで (概要)基底状態にあるHeからLrまでの102個について、副殻nlの電子の運動量と副殻n'l'の電子の運動量の間の角度の期待値<T12>nl,n'l'が調べられた。ここで、nとlはそれぞれ主量子数と方位量子数である。位置空間と運動量空間における電子間角度の期待値の理論構造が類似しているので、偶数の|l-l'|を持った<T12>nl,n'l'は正確に90度に等しくなり、一方で奇数の|l-l'|を持った<T12>nl,n'l'は90度よりもいつも小さくなる。102個の原子で奇数の|l-l'|を持った<T12>nl,n'l'は3275個あり、それらを詳細に調べると90度からの全電子間角度のずれは|n-n'|=<1および|l-l'|=1の副殻対によって支配されることが明らかになった。この結果は、位置空間においてn=n'および|l-l'|=1を持った副殻対だけが重要であることと対照的である。
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