(1)フラロデンドリマーの簡便な合成法の一般化 本研究者が見出した、アントラセンをフォーカルポイントにもつポリアミドアミンデンドリマーとフラーレンとのDiels-Alder反応によるフラロデンドリマーの合成法を用いて様々なフラロデンドリマーの合成に成功した。これにより、本法が、広範な応用が可能な実用的手法であることが明らかとなった。 (2)フラロデンドリマーを一重項酸素光増感剤として用いる酸化反応 フラーレンは高い一重項酸素光増感剤としての機能が知られており、これを光触媒として用いた有機合成反応がいくつか報告されている。しかし、フラロデンドリマーを用いた、光酸化反応の報告例は無かった。フラロデンドリマーはフラーレンと異なりあらゆる溶媒に可溶であるので、フラーレンに比べ応用範囲が広く、もしも、高い光触媒活性が確認されれば非常に重要な意味を持つ。そこで実際に、フラロデンドリマーを触媒として用い、様々な基質について光酸化反応について検討したところ、いずれも高収率で対応する酸化生成物を与えた。また、そのTONは約1000にも達し、光増感剤としては十分な活性を持つことが分かった。 (3)フラロデンドロン薄膜の作製と構造 フラロデンドリマーは両親媒性分子としての性質を持っており、界面における自己組織化が期待される。一方で、フラーレンの薄膜は、その光機能性から大変興味が持たれている。そこで、フラロデンドロンの薄膜を作製し、その構造について検討した。興味深いことに、薄膜の構造はフラロデンドロンの世代に応じて変化し、気液界面、LB膜、吸着膜、いずれの場合においても、デンドリマーの世代を調節することで、きれいな単分子膜を得ることができた。
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