研究概要 |
ポリ酸の光化学反応はポリ酸の酸素(O)→金属(M)電荷移動(LMCT)吸収帯への光照射により開始され、多くのイソポリモリブデン酸はこの光化学反応に誘起されて自己集合化する。今回、pH5の水溶液中で電子供与体としてイソプロピルアンモニウムイオンを用いて[MO_7O_<24>]^<6->の光還元を行ったところ[Me_3NH]_4[H_<16>Mo_<12>O_<40>(MoO_3)_4]・10H_2O(Orthorhombic, space group Cmcm, a=17.838(5) Å, b=20.663(6) Å, c=20.325(6) Å, Z=4, R=0.041)の結晶化に成功し、X線構造解析を行った。[H_<16>Mo^V_<12>O_<40>(Mo^<VI>O_3)_4]^<4->アニオンはε-Keggin型の{H_<16>Mo^V_<12>O_<40>}に4個の{Mo^<VI>O_3}がキャップしたT_d対称の骨格構造を持ち、ε-Keggin{H_<16>Mo^V_<12>O_<40>}構造は2.6Åの6個の金属-金属結合から構成されていた。還元によってアニオン骨格に取り込まれた電子はこの結合部分に局在化していると考えられる。さらにボンドオーダー値からε-Keggin{H_<16>Mo^V_<12>O_<40>}構造内の12個のμ_2型架橋酸素原子とμ_3型架橋酸素がプロトネーションしていることが示された。一方で反応溶液のpHをアルカリ側に変化させた場合、[H_<16>Mo^V_<12>O_<40>(Mo^<VI>O_3)_4]^<4->はpH9付近まで変化させた場合においても存在することがX線構造解析によって明らかになった
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