研究概要 |
本研究の目的は,核分裂によって生成する核分裂片の電荷をより精度良く測定するための装置を開発し,核分裂における電荷分割の機構を調査することである.研究2年目となる今年度は,昨年度作成した電荷測定用のイオンチェンバーの性能チェックのため,^<252>Cfのアルファ壊変によるアルファ線と自発核分裂による核分裂片の測定を行った. まずは,アノードを分割せず一般的なグリッド電離箱と同様の形式にし,また,当初の予定よりカソード-グリッドの距離を半分にしてテストを行った.印加電圧は,グリッドをGNDにしてアノードに+700〜1000V,カソードに-2000〜2750Vとした.アノード電圧の増加に対して,パルス波高は若干増加するが半値幅に大きな変化は見られなかった.カソード電圧の増加に対しては,パルス波高,半値幅ともに敏感に影響するが,-2500Vを超えるとあまり大きな変化は示さなかった.カソード電圧が-3000V程度になると,検出器を収めている真空容器とのあいだで放電を起こし測定不能となった.これは,カソード-グリッド間距離を広げるのに重大な問題となる. 最終的には,^<252>Cfからのアルファ線に対して約2%の半値幅を得たが,目標はこの1/3であり,今後,充填気体の純化や測定回路の見直しなどを行っていく予定である.
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