• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2003 年度 実績報告書

液体界面での分子吸着脱離過程における分子間相互作用の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15750063
研究機関東京大学

研究代表者

池添 泰弘  東京大学, 大学院・工学系研究科, 教務職員 (70334315)

キーワード凖弾性レーザー散乱法 / 表面張力 / 表面温度 / 表面流速 / 表面粘性 / 熱対流
研究概要

本研究では、界面活性剤イオンを含む液体薄膜を作成したときに膜厚が徐々に薄くなる過程におけるイオンの吸着・脱離過程を時間分解準弾性レーザー散乱(TR-QELS)スペクトルを取得することによって解析した。実験の結果、液体薄膜の膜厚が薄くなる過程において、表面で数mm/s〜数cm/sの流れが生じていることがわかった。
筆者が以前から行っている液液界面の非線形化学振動現象の研究において、液液界面の流れが周囲の物質移動を増幅させて界面での一斉吸着現象などを引き起こすことが見出されており、液体表面や界面の流れを観測する事に分子挙動の理解に非常に重要な意義を持つと考えられる。そこで、本研究では、当初の目的の表面張力や表面粘性の観測だけでなく、同時に表面流速をも観測できる装置を作成することを目的とした。従来の流速測定法はトレーサーを用いるものが多いが、本研究では、表面張力や表面粘性を観測するのに利用していたTR-QELS装置はそのまま利用できる状態で残し、スペクトルの取り方を工夫して表面流速も定量的に観測できるようにした。実験では、ガラスセル内に入れた純粋溶媒(数10ml)の中に熱対流を発生させ、気液界面での張力・粘性・流速の時間変化を観測した。純粋な溶媒の場合は、粘性の変化は温度に敏感であることから、粘性の計測は温度の計測にも対応する。対照実験として、熱電対を用いた表面温度の測定、トレーサーによる表面流速の測定を行ったが、TR-QELS法による測定はそれらと良い一致を示した。この結果は、唯一のレーザー光の散乱スペクトルを用いて、液体の界面張力・界面粘性(界面温度)・界面流速を、非破壊・非接触でしかも同時に時間分解測定できることを意味している。本手法は、非線形吸着脱離現象に見られるイオンの過渡的な異常吸着状態やSi単結晶引き上げ装置における融液表面状態の計測などへの応用も期待される。

URL: 

公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi