細繊維並行充填型高性能キャピラリーカラムの開発

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15750066
• 研究機関: 豊橋技術科学大学
• 研究代表者: 齊戸 美弘 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (00303701)
• キーワード: 耐熱性繊維 / 繊維充填型カラム / ガスクロマトグラフィー / ショートカラム / 高沸点化合物 / 分離分析 / 高感度検出 / 大量試料注入

研究概要

本研究は、従来のカラムの欠点を同時にかつ大幅に克服した、全く新しい形態の繊維充填型キャピラリーカラムを開発することを目的しており、カラム内の通気性を保持しつつ、かつ細繊維自体あるいは細繊維表面にコーティングする液相等と分析試料との効果的な相互作用が可能となり、これまで不可能とされていた短いキャピラリーカラムの実用化が達成できる。
また、試料の注入許容量も従来に比べて飛躍的に増加することから、分析感度の向上が期待でき、種々の微量分析への応用が可能である。更に、優れた耐熱性を有する細繊維をカラム充填剤に用いることにより、これまでガスクロマトグラフィーでは一般に困難とされてきた高沸点化合物の高速分離も達成し得る。
上記の研究目的を効率的に達成するため、平成15年度には以下の研究を実施した。
1 各種耐熱性繊維の比較
申請備品のGC装置を用い、各種耐熱性繊維の化学構造とその分離選択性との関係について検討した。分離試料には種々の同族体等を用いるとともに、繊維の化学構造を考慮して、各種芳香族化合物に対する挙動も検討し、また、従来カラムとの選択性・分離効率の比較も行った。
2 最適条件の検討
繊維の充填方法ならびに最適カラム内径・長さ等について検討し、キャリアーガス線流速などの基本的な分離分条件の最適化を行った。特に、細繊維の充填本数・充填率と、最適分離条件との関連について、各種繊維の化学構造・表面状態等の解析も含めて検討した。
3 液相コーティング条件の検討
繊維をカラムに充填後、繊維の表面に、これまでGCにおいて広く用いられてきているポリシロキサンベースの各種液相のコーティング処理を行った。また、この処理条件を最適化するとともに、未処理カラムとの比較を行い、繊維自体とコーティング剤の分離に対する寄与を評価した。更に新規コーティング剤の開発にも着手した。

研究成果

• [文献書誌] Y.Saito: "Miniaturization of Separation Systems and Its Applications"Chromatography. 24. 7-17 (2003)
• [文献書誌] Y.Saito: "Design and Characterization of Novel Stationary Phases Based on the Retention Behavior Studies for Various Aromatic Compounds"Journal of Separation Science. 26. 225-241 (2003)
• [文献書誌] Y.Saito: "Miniaturized Sample Preparation Combined with Liquid Phase Separations"Journal of Chromatography A. 1000. 53-67 (2003)
• [文献書誌] Y.Saito: "Polymer-Coated Fibrous Materials as the Stationary Phase in Packed Capillary Gas Chromatography"Analytical Chemistry. 75. 5525-5531 (2003)
• [文献書誌] Y.Saito: "Development of Miniaturized Sample Preparation with Fibrous Extraction Media"Journal of Chromatography A. 1025. 27-32 (2003)
• [文献書誌] Y.Saito: "Liquid Chromatographic Retention Behavior of Polycyclic Aromatic Hydrocarbons on a Novel Chitosan-Based Stationary Phase Synthesized with a Trifunctional Cross-Linker"Journal of Liquid Chromatography and Related Technologies. 27. 275-287 (2004)
• [文献書誌] Y.Saito: "Polymer-Coated Fibrous Stationary Phases in Packed Capillary Gas Chromatography"Analytical Sciences. 20. 335-339 (2004)
• [文献書誌] Y.Shimizu: "Ethylenediamine Tetraacetic Acid Modification of Crosslinked Chitosan Designed for a Novel Metal-Ion Adsorbent"Journal of Applied Polymer Science. 92. 2758-2764 (2004)
• [文献書誌] Y.Saito: "Fullerenes for Chromatographic Separation"Analytical Chemistry. 76(印刷中). (2004)
• [文献書誌] Y.Shimizu: "Diethylaminoethylation of Chitin and the Adsorption of Acid Dyes onto the Resulting Polymer"Adsorption Science and Technology. (印刷中). (2004)
• [文献書誌] Y.Saito: "Drug Monitoring and Clinical Chemistry"Elsevier Science H.V. (Amsterdam, The Netherlands). 14 (2004)