研究概要 |
キャピラリー電気泳動法,高速液体クロマトグラフィーの新しい分離モードの開発を目的として,グルコサミン骨格を有するキトサンに着目して,各種誘導体を合成した.これまでに,一級アルコール部位の架橋により耐酸性,耐溶媒性を高めたものに加えて,アミノ基にホスホン酸,芳香族アミンを導入したものを合成した.樹脂上の官能基の物理化学的特性,特に酸塩基特性およびその交換容量を簡便に評価する新しい方法として,微少の試料量で測定を可能とするフロー滴定法を開発した. また,泳動液,溶離液中で活用する分子間相互作用-疎水性イオン間相互作用-の解明を目的として,キャピラリー電気泳動法における電気泳動移動度の変化量解析により水溶液中での第四級アンモニウムイオンと無機陰イオンとの間にはたらく弱い相互作用解析に成功した.かさ高い第四級アンモニウムイオンを用いた場合に比較的強い相互作用がみられ,疎水性相互作用の寄与が明示された.現在,水-アルコール混合溶媒系等に展開し,電気泳動移動度,イオン会合反応における溶媒効果をさらに探索中である. また,フロー分析法として気液接触型化学発光検出セルを開発し,大気中オゾンの高感度分析法を提案した.化学発光試薬であるクロモトロープ酸のオンライン紫外線照射による活性化により化学発光強度が飛躍的に高まり,検出感度は40pptに達した.応答時間は0.1秒程度で航空機での測定に利用可能である.大気中のオゾン測定に加えて,水中の残留オゾン測定法の開発にも展開した.
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