本年度は、実際にヒトゲノムに存在するSNP配列として、臓器移植において拒否反応の原因となるヒト白血球抗原(human leucocyte antigen: HLA)に着目し、これをもとにプローブとターゲットを設計した。ターゲット配列(HLA-15C:5'-GCG GTG GAC ACC TAC TGC AGA CAC AAC TAC-3')は、DR座(DRB1^*0101)から選択した。それに対応する一塩基変異として、実際にゲノム上に存在するのは15番目のCがTに変異したHLA-15Tである。しかし、本検出系の性能を検証するために他の一塩基配列(HLA-G及びHLA-A)についても対照実験を行った。検出にはSPRセンサー(BIAcore)を用いて各DNAの長さ、濃度、流速、温度などの最適化を行った。 各サンプルDNAの濃度はすべて50μMとなるように調製し、熱変性してthree-way junction構造を形成させた後、それぞれ20μlずつセンサーチップに注入した。流速は常に5μl/minとした。サンプルを注入する直前と注入後2分間経過時点のSPRシグナルの相対変化をSPR応答値(ΔRU)とした。 その結果、HLA-Perfect match(target DNA: HLA-C)のSPR応答値は132RUであったのに対し、一塩基変異体であるHLA-Mismatch(target DNA : HLA-G、A及びT)は全て有意な値を示さなかった。このことから、HLA多型のような実際に人のゲノムに存在するSNPsについても本方法によって検出できるということが確認された。
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