研究概要 |
これまでケイ素、スズを用いた環状化合物の合成は多数報告例があるがホウ素を用いた環化反応においてはその原料となるホウ素化物の合成が困難であったためにその例は少ない。本研究課題は、クロスカップリング反応、アリルホウ素化反応、ロジウム触媒による1,4-及び1,2-付加反応など、ホウ素化合物の反応の特性を生かした環状化合物の合成法の開発を目的としている。 1)アリールおよびアルケニルホウ素化合物の不斉1,4-および1,2-付加反応 アリールおよびアルケニルホウ素化合物のロジウム、パラジウム触媒による不斉付加反応について検討した。ロジウム触媒を用いる付加反応では、すでにBINAP,phosphoramidite配位子を用いて高いエナンチオ選択性を達成しているが新規不斉リン配位子として2座phosphoramiditeの開発に成功した。また、パラジウム系ではジカチオン性パラジウム-chiraphos系で反応が進行し高エナンチオ選択的に反応が進行することを見出した。 2)分子内にカルボニル基を有するアルケニルホウ素化合物の合成と分子内環化 分子内環化を指向した種々のカルボニル基を有するアルケニルホウ素化合物の分子内1,2-付加反応を検討した。反応は[RhCl(cod)]_2触媒で効率よく進行し5員環及び6員環アリルアルコール類が立体選択的に収率良く生成した。 触媒的ヒドロホウ素化、ロジウム、ジカチオン性パラジウムによる有機ボロン酸のマイケル反応などの素反応についても調査した。
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