研究概要 |
本研究では6枚のポルフィリンが直接ルテニウムトリスビピリジン錯体に結合したヘキサポルフィリン錯体1の合成を行い。その電子物性の評価とゲスト分子捕捉時における各種スペクトル変化を調べた。ヘキサポルフィリン錯体1の合成は、Ni(cod)_2錯体を用いた2-ブロモピリジルポルフィリンのホモカップリング反応によって5,5'-ビスポルフィリン置換2,2'-ビピリジン2を62%で合成した後、ビピリジン2とRu(DMSO)_4Cl_2を3:1の当量比で10%含水エチレングリコール中、バス温150℃にて加熱還流を行うことにより行なった。錯体1の紫外可視吸収スペクトルでは420nm付近のSoret帯の吸収がブロード化し、また550-630nmに見られるQ-帯もブロード化しながら長波長シフトすることがわかった。錯体1は、3組のビスポルフィリン2とルテニウムトリスビピリジン錯体から構成されるがその吸収スペクトルはそれらの単純な足し合わせとは一致しないため、ポルフィリンとルテニウム錯体間で電子的な相互作用が存在することが示唆される。錯体1と様々なトリアミン類との相互作用を検討したところ、二分子のトリス(アミノエチル)アミン3と強く相互作用し、1:2の錯体を形成することがわかった。^1H NMRによる構造解析の結果の結果から、2から1への変化ではNMRシグナルはブロード化するが、アミン3が二分子結合することによって再びシャープなピークが観測され、6枚のポルフィリンが等価に観測されていることがわかった。また、アミン3は3枚のポルフィリンの環電流によって遮蔽され、-2.8から-7.5ppmの高磁場領域に観測された。これらのことから、二分子のアミンは錯体1中の3枚のポルフィリンからなるキャビティー内に捕捉されていることがわかった。
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