研究概要 |
1.設備等の整備 本研究を遂行する準備として,現有する28CPUを備えた並列計算機,および,申請者が開発した分子シミュレーションプログラムPAMPSの改良を進めた。また,構造変化を詳細に解析するために、グラフィックス機能を強化したワークステーションを購入し,ソフトウエア環境の整備をおこなった。これらのシステムを用い,シミュレーションおよび構造解析を進めた。 2.結晶構造相転移のダイナミックスの解明 シンジオタクチックポリスチレン(s-PS)の結晶多形体間の相転移を、さまざまな条件下でシミユレーションし、結晶構造の変化と分子運動性との関係を詳細に解析した。実験で得られた構造を初期構造として与え、分子動力学(MD)シミュレーションをおこない,(1)相転移の引き金となる分子運動,および,(2)転移過程における集団的な原子の動きについて解析を行った。これらについては,現在も,解析が進行中である。また,構造相転移を利用することにより,実験的には未決定の結晶構造を,シミュレーションによつて決定する方法を考案し,論文発表した。 3.他のプロジェクトとの連携 特定領域研究「分子キャビティーの高度制御によるスマートメンブレンの創成」と連携することにより、結晶のダイナミックスの機能性分離膜への工学的な応用を考慮した研究を進めた。キャビティーを有する,シンジオタクチックポリスチレンの種々の結晶多形をとりあげ,特に,本研究の役割として,高分子鎖のダイナミックスに着目した研究を進めた。
|