メタクリル酸ノナフルオロヘキシル(NFHMA)とメタクリル酸t-ブチル(tBMA)をリビングアニオン重合によりブロック共重合し、polyNFHMA-b-polytBMAを調製した後、poly tBMAセグメントのt-ブチル基の加水分解と中和を行いメタクリル酸ナトリウムセグメントに変換することで、含フッ素両親媒性ブロックコポリマーpolyNFMA-b-polyMANaを合成した。また、同一化学構造でフッ素原子を持たないメタクリル酸ヘキシル(HMA)を用いて、同様の手法により、同じ重合度と重合度比をもつフッ素不含両親媒性ブロックコポリマーpolyHMA-b-polyMANaを合成した。含フッ素ブロックコポリマーは、水中で会合してフッ素セグメントをコアとしたミセル微粒子を形成した。この含フッ素ブロックコポリマーミセル微粒子とフッ素不含ブロックコポリマーが形成するミセル微粒子に関して、大きさならびに形状を、動的光散乱(DLS)、X線小角散乱(SAXS)、中性子小角散乱(SANS)測定およびそのデータの解析を行い調査した。その結果、形状は、いずれのミセルもほぼ球状であったが、大きさに関しては、含フッ素ミセルの方が、フッ素不含ミセルよりも明らかに大きな微粒子を形成していることがわかった。これは、含フッ素ミセルの方が、ミセルのコア/シェル間の界面張力がより大きく、ミセル会合数がより大きくなるためと結論付けられた。また、これらのミセル溶液にフッ素系および非フッ素系の疎水性色素を添加し、可溶化実験を行った。その結果、含フッ素ミセルは、フッ素系の疎水性色素を選択的に取り込む親フッ素性を示すことがわかった。このように、含フッ素ブロックコポリマーのミセル形成により、水中に溶解したフッ素微粒子を生成させることに成功し、そのフッ素微粒子の特性を明らかにすることができた。
|