研究課題
本研究では環状ジチオエステル(o-DiCTE)と3-phenoxypropylenesulfide(PPS)による環拡大重合挙動について詳細に検討したものである。o-DiCTEと官能基等量のPPSとの反応を触媒としてテトラブチルアンモニウムクロリド(TBAC)を用い、NMP(1.0mol/L)中、70℃、24時間の条件で行ったところ、挿入反応は定量的に進行し、収率90%で対応する環状化合物(o-DiCTE-2PPS)が得られることを明らかにした。また、その反応機構を詳細に検討したところ、この環拡大反応は、挿入反応とエステル部位の分子間反応の二つを併用して進行する反応であることが明らかとなった。このことは、さらにサイズの大きな環状化合物が合成できると考えられる。そこで、o-DiCTEとPPSの反応を仕込み比o-DiCTE/PPS=1/50の条件で行ったところ、M_n=4万以上の環状ポリマーが定量的に得られることが判明した。さらに、o-DiCTEの分子間でのエステル交換反応による環拡大重合について詳細な検討を行った。その結果、この反応を無触媒、バルク条件下、150℃以上で行った場合、開環重合が進行し、高分子量のポリマーが得られることが判明した。得られたポリマーは、直鎖状と環状の両方が混合していることが分かった。また、触媒としてTBACを用いて、1-メチル-2-ピロリドン中で行った場合、エステル部位の交換反応による環拡大反応が進行し、分子量は反応温度および反応時間により制御可能であることを見出した。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
Journal of Polymer Science, Part A : Polymer Chemistry 42(10)
ページ: 2543-2550
Polymer Journal 36(5)
ページ: 413-421
Journal of Polymer Science, Part A : Polymer Chemistry 42(15)
ページ: 3697-3707
ページ: 3739-3750
Bulletin of the Chemical Society Japan 77
ページ: 1415-1422
Bulletin of the Chemical Society Japan 77(11)
ページ: 2109-2114