フラーレンおよびカーボンナノチューブを有機物の持つ組織化によって一定の大きさ・形を持つ組織体にすることを目的とし、種々のホストの合成を行った。カラム状組織体を形成する液晶性ヘキサベンゾコロネンの側鎖にフラーレンを導入し、その組織化について検討を行った。ヘキサベンゾコロネンの形成するカラム状組織体の周りにフラーレンを集積化できることがわかった。さらに、液晶性オリゴフェニレンビニレンを合成しカーボンナノチューブとの複合化を試みた。本来安定に溶媒中に分散できないカーボンナノチューブを合成したホストを共存させることにより、数ヶ月間安定に分散できることを見いだした。さらに、溶媒を取り除いたカーボンナノチューブとホスト分子の複合体の液晶性を調べたところ、カーボンナノチューブの存在により有機物の組織体構造の変化がみられた。透過型顕微鏡観察により、この複合体内にはカーボンナノチューブのネットワークが存在することがわかった。
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