研究課題
Eu(hfa)_3(H_2O)_2の水が配位しているサイトを様々なホスフィンオキシド配位子(P=O間をメチレン鎖で連結した配位子(鎖長=1〜4)、P=Oを芳香環(o位およびm位)で連結した配位子、P=Oをビフェニレンで連結した配位子)で交換することにより、7種類の新規な非対称型ユーロピウム錯体を合成した。さらに、全ての錯体についてX線構造解析した。このx線構造解析から、「P=O間をメチレン鎖で連結したユーロピウム錯体(鎖長=1〜4)」および「P=Oを芳香環(m位)で連結したユーロピウム錯体」は同様な構造配置であることがわかった。一方、「P=Oを芳香環(o位)で連結したユーロピウム錯体」は対称性の高い配位構造、「P=Oをビフェニレンで連結したユーロピウム錯体」は対称性の低い配位構造であることがわかった。得られたユーロピウムの発光スペクトルを測定し、シュタルク分裂解析を行った。「メチレン鎖連結のユーロピウム錯体」は5つの準位に発光スペクトルが分裂(発光半値幅:約7nm)するのに対し、「o位で連結したユーロピウム錯体」は3つにシュタルク分裂(発光半値幅:約3nm)することがわかった。さらに「ビフェニレンで連結したユーロピウム錯体」は5つのシュタルク分裂のうちの1つの準位が強調された発光スペクトル(発光半値幅:約1nm)を与えた。この解析により、配位構造と光物性(シュタルク分裂、半値幅)の関係を明らかにすることができた。次に、発光スペクトルの半値幅が小さいもの程、ユーロピウム錯体の光増幅現象(レーザー発振における誘導放出現象)が大きくなることを計算により導いた。この計算結果を基に、本年度に新規合成されたユーロピウム錯体の光増幅効率(レーザー発振効率)を測定した結果、「ビフェニレンで連結したユーロピウム錯体」において光増幅効率が最大となった(良好なレーザー発振特性が観測された)。以上より、幾何学配位構造、光物性、理論計算、アプリケーションの相互関係について明らかにすることができた。また、本成果を応用することにより、非対称型の感温性希土類錯体や強発光多核希土類錯体などの成果も上げることができた。
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