研究概要 |
ユーロピウムイオン(III)(Eu^<3+>)含有ゲルマン酸塩ガラスを溶融急冷法によって作製した.これらのガラス中のEu^<3+>の^5D_0→^7F_2遷移に従った赤色蛍光は,80GeO_2-20Na_2O-4Eu_2O_3ガラスで最も強くなった.このように赤色蛍光を強くするためには,Eu^<3+>間の交差緩和(^5L_6,^5D_j→^5D_0)→(^7F_<j^*>←^7_<j">)(3≧j≧0,6≧j^*>j"≧0)を起こり易く,励起されたEu^<3+>とn個の励起されていないEu^<3+>間の交差緩和(^5D_0→^7F_<j'>)→Σ(^7F_<j^*>←^7F_<j^">)_n(6≧j'≧0,6≧j^*>j^"≧0)を起こり難くすることが必要であった.また,これらのガラスのEu^<3+>のL_<III>吸収端のX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルを測定し,Eu^<3+>の局所構造を調査した.その結果,Eu^<3+>の最近接の酸素配位数が6で,Eu-O結合距離は,230-235pmであった.ガラス修飾酸化物が増加するに従いEu-O距離は増加し,アルカリおよびアルカリ土類金属が重元素化するに従いEu-Oの距離は減少した. ユーロピウムイオン(II)(Eu^<2+>)の青色発光を利用した残光ガラスを作製するため、高エネルギーが蓄えられる酸素欠損欠陥(Ge^<2+>中心)を含んだゲルマン酸塩ガラス((100-x)GeO_2-xM_mO_n,M_mO_n=B_2O_3,Al_2O_3およびSiO_2)にEu^<2+>の含有させた.M_mO_n=B_2O_3(x≦50),SiO_2(x≦40)およびAl_2O_3(x≦6)では,xの増加とともにGe^<2+>中心に従った300および395nmの発光バンドが増加し,Ge^<2+>中心が増加した.また,Eu^<2+>に従った青色蛍光は出現しが,その残光は出現しなかった.したがって,Ge^<2+>中心は,Eu^<2+>の青色残光に作用しないことが分かった.
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