研究課題
本年度得られた知見を総括すると次の通りである。1)架橋剤、架橋度を変化させた種々の架橋型ポリアクリル酸カリウム(PAAK)にKOH水溶液を吸収させて作製した高分子ヒドロゲル電解質を用いて電気二重層キャパシタ(EDLC)を構築し、特性評価を行った。その結果、PAAKの架橋度が大きくなるほど、EDLCの高率放電特性が向上する傾向が見られた。架橋度が大きくなると、ゲル中の自由水の割合が増加するためと考えられる。また、リーク電流に関しては、架橋剤、架橋度による影響はほとんど見られず、いずれの場合もKOH水溶液の場合に比べて、リーク電流が著しく抑制されることがわかった。2)EDLCのさらなる高エネルギー密度化を目的として、活性炭素負極、水酸化ニッケル正極、高分子ヒドロゲル電解質を用いたハイブリッドキャパシタを構築し、その電気化学特性を評価した。その結果、ハイブリッドキャパシタはEDLCに比べて2倍以上の静電容量と高い作動電圧を示し、エネルギー密度は5倍以上に増大することを見出した。また、ハイブリッド化により高率放電特性が向上し、さらにリーク電流が著しく抑制されることも明らかにした。3)ポリビニルアルコールを溶解させた硫酸水溶液に架橋剤としてグルタルアルデヒドを加えて、ゲル化させることにより、新規な酸性高分子ヒドロゲル電解質の作製に成功した。この電解質は自立膜としての機械的強度を有し、室温で10^<-1>Scm^<-1>オーダーの高い電気伝導率と広い電位窓を有することもわかった。この電解質を用いたEDLCは、良好な電極/電解質界面の形成により、キャパシタとして十分に機能し、比較的大きな静電容量を示した。また、この電解質の使用により自己放電が著しく抑制されることも明らかとなった。この酸性高分子ヒドロゲル電解質は、EDLCにおける従来の硫酸水溶液に代わる機能的な電解質として期待できる。
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Electrochemical and Solid-State Latters 8・1
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ITE Letters on Batteries, New Technologies & Medicine 5・4
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Journal of Applied Electrochemistry (印刷中)
Research on Chemical Intermediates (印刷中)
Journal of Power Sources (印刷中)