まず本年度の前半は、良質の実験画像を得られるために必須と考えられる、試料前処理(汚染物除去、等)のプロセスの確立を目指し、かなりの改善を得ることに成功した。その成果に基づき、本研究課題の目的の一つであるSiGe膜中(111)積層欠陥のHAADF-STEM像を得ることに成功した。この積層欠陥の構造を原子レベルで直視したのは世界初である。理論的に予測されている構造との比較も踏まえ、剛体球モデルできる構造とほとんど同じであることが確認された。また、欠陥面における原子コラムの強度に偏りが見られることを発見した。これはGe原子が入り込みやすい原子サイトの存在を示唆するものであり、SiGe中での自己格子間原子の拡散および反応挙動に関しての重要な情報・知見が得られる可能性がある。この点に関しては計算機シミュレーションとの比較による詳細な検討が必要と考えられ、現在遂行中である。
|