アゾベンゼン部位を側鎖にもつ高分子材料は吸収のあるレーザー干渉光を照射することで、簡単に微細な表面レリーフ構造を得られることから、新しい記録材料として注目されている。本研究では、アゾベンゼン高分子薄膜を用いたホログラム窓の開発に向けて、アゾベンゼン高分子薄膜の記録特性評価、拡散体の試作、評価をおこなった。レーザー光源としてハイパワーでアゾベンゼンへの記録感度の良い波長のAr^+レーザー(488nmおよび514nm)を用いた。まず、記録光の光強度及び偏光依存性を評価するため、薄膜上に回折格子を記録し最適な記録条件を求めた。次に実際にホログラム拡散体を記録し、透過率、拡散特性等を評価した。その結果、最適な膜厚、記録時間で記録することにより、透過率88%、非拡散光1%以下の良好な拡散体を作製することができた。さらに、回折格子と拡散体を組み合わせることで、拡散方向の制御ができる拡散体の試作をおこなった。回折効率はまだ低いが、1次回折光が拡散されるようすが確認された。作製された拡散体は、可視域で大きな吸収があるため、そのままで使用することはできない。そこで、作製したホログラム拡散体の複製について検討をおこなった。複製材料として、可視域で透明性が高く、安定なシリコン樹脂や紫外線硬化樹脂の使用を検討した。その結果、シリコン樹脂をネガティブレプリカ、紫外線硬化樹脂をポジティブレプリカ材料として用いることで、良好な拡散体が複製できることを確認した。今後は、ホログラム窓の実用化を最終目標に、大面積化、最適化を検討していく。
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