研究課題
本研究では、CdTe半導体バルク結晶を用いて高い空間及びエネルギー分解能、高い検出効率を有する高性能放射線検出器を開発することを目的としている。しかしながら、CdTe検出器では電子と正孔の移動度と寿命差に起因する検出感度の低下や、エネルギー分解能劣化などの問題がある。それを解決するため昨年度は新規の電極構造である微小収束型電極構造を持つ単一検出素子の検討を行った。今年度は昨年度得た成果を基に検出器作製の最適化及び本構造を持つ検出器をアレイ化について検討した。その結果からCdTe検出器の漏れ電流は電極形成前の結晶表面状態との関係が非常に大きいことが分かった。結晶を臭素-メタノール液によるエッチング後、過酸化水素で軽く(1〜2分程度)酸化した後、電極形成を行なった場合最も良好な特性が得られることが分かった。また、CdTe(111)結晶B-面(Te面)に正の電界を適用した時漏れ電流が少なくなることから漏れ電流はCdTe結晶方位にも関係していることが分かった。上記のプロセスを基に小規模アレイ(2x2素子)を作成し、マルチチャンネルパルスハイトアナライザーにより、実際に高エネルギー放射線源(Am-241)の検出特性評価を行なった。その結果作成した検出器では従来の結晶表面と表面に平面電極を形成した構造の検出器よりも優れた検出特性持っていることが確認できた。今年度得た研究結果はイタリアで開催された室温動作可能な放射線検出器ワークショップとIEEE 2004 Conference Recordとして報告した。
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IEEE 2004- 14^<th> International Workshop on Room-Temperature Semiconductor X-and Gamma-Ray Detectors Conference Record
ページ: R11-R57