1。MDGRAPE-2による境界要素法の高速計算手法の開発と応用 分子動力学専用計算機MDGRAPE-2の高い演算性能を利用して各種境界要素法を高速に実行する手法を開発した。3次元Helmholtz方程式、静弾性学、Maxwell方程式(周波数域電磁気学)に対する境界要素法を具体的な対象とした。まず、計算コスト上ネックとなる層ポテンシャルをMDGRAPE-2によって評価するための定式化を行った。この評価法と離散方程式の反復解法を組合せる事によって境界要素法の高速計算手法を構成した。続いて、定式化に基づいてソフトウェアの開発を行った。これらは内部及び外部混合境界値問題に対応している。テスト問題において汎用のスカラあるいはベクトル計算機よりも数百倍高速に解析を実行可能である事を確認した。これより、本手法は大規模な境界値問題の解析に利用出来ると期待される。その実証を兼ねて、また工学的重要性の観点から、アンテナ機材及び光学素子における大規模電磁気シミュレーションに取り組んでいる。 2。高速アルゴリズムと専用計算機的アプローチの融合 近年研究が盛んである高速アルゴリズムを取り入れた高速境界要素法をMDGRAPE-2によって更に加速する手法の構成にも取り組み始めた。このような融合的手法の開発は多体問題の分野では既に行われている。その中でもP2M2法に着目して、それを2次元LaPlace方程式に対する境界要素法に適用する事を試みている。現在その定式化を検討中である。16年度は、そのソフトウェア開発を行い、その有効性を調査する次第である。
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