本年度の目的は、高速アルゴリズム(ツリー法、高速多重極法など)を採用した境界要素法を専用計算機的論方法によって更に高速化するための方法を構成する事である。このような高速アルゴリズムと専用計算機の併用手法は、多体問題の分野においてMakinあるいはkawaiらが有効な方法(擬似粒子多重極法と言う)を提案している。その手法を境界要素法に焼き直す事が本研究の基本方針である。その際、基本的に必要となる定式化は、本来の境界に分布した密度に関する層ポテンシャルを、幾つかの点における密度に関するポテンシャルによって近似的に置き換える事である。この定式化を、まず、2次元Laplace方程式の境界要素法に対して行った。この場合、擬似粒子多重極法がほぼそのまま適用出来る事がわかった。そして、その定式化を基に、分子動力学シミュレーション用専用計算機MDGRAPE-2上で実行可能な解析コードを開発した。そのテストを行ったところ、比較的規模の大きな問題においては、比較すべきツリー法に対して高速となる事がわかった。ただし、まだチューニングの余地を残している。次に、2次元Helmholz方程式に対する擬似粒子法の定式化に取り組んだ。その際、Rokhlinのdiagonal形式を出発点に取ると良い事がわかった。これらの定式化を基に、MDGRAPE-2を用いた解析コードを実装中である。以上に関する報告は第8回米国計算力学国内会議(2005年7月)他にて順次発表予定である。なお、前年度までの成果の一部は国内外の雑誌に現在投稿中である事を付記する。
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