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2003 年度 実績報告書

超細粒材料の原子間力顕微鏡および結晶方位解析によるナノスケール疲労損傷機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15760057
研究機関名古屋大学

研究代表者

木村 英彦  名古屋大学, 工学研究科, 助手 (60345923)

研究分担者 秋庭 義明  名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (00212431)
田中 啓介  名古屋大学, 工学研究科, 教授 (80026244)
キーワード超細粒鋼 / 疲労 / き裂伝ぱ / 結晶方位 / 微視組織 / EBSP / AFM
研究概要

(1)超細粒鉄鋼材料(Ultrafine材)および比較的粗大な結晶粒を有する比較材(Medium材)を作製して疲労試験を行なった.原子間力顕微鏡(AFM)による試料表面のナノ・オーダーでの観察および電子線後方散乱(EBSP)による結晶方位解析により疲労き裂発生および伝ぱ挙動を詳細に観察した.
(2)Ultrafine材では,疲労初期に通常の単純すべりに加え複雑なすべり変形領域が観察された.疲労き裂は複雑なすべり変形領域内の粒界から発生した.疲労き裂発生機構はLTとLS材で差異は認められなかった.また,疲労初期においては最大応力負荷時と最小応力負荷時のすべり帯の突出しや入り込みに相違はみられなかった.
(3)Medium材では,疲労初期に粒内に明確なすべり線が発生した.このすべり帯が進展して主き裂となった.
(4)EBSP解析の結果,疲労き裂発生点における結晶方位は<101>であることがわかった.き裂が発生した複雑なすべり変形領域は,方位差が10°未満の結晶粒が集合したコロニーと一致しており,き裂伝ぱ方向と平行方向の平均コロニー径は結晶粒径の2.2倍であった.き裂発生部はLS面に{101}面,LT面には{111}面が配向していた.
(5)EBSPによる結晶方位解析から得られたシュミット因子と,AFMによる表面観察結果と比較した結果,Ultrafine材で発生する複雑なすべり変形は{123}<111>,{110}<111>および{112}<111>の3種のすべり系による交差すべりであることを解明した.
(6)Ultrafine材における疲労限度には,集合組織による疲労限度の低下,および交差すべりの形成と亜粒界によるき裂伝ぱ抵抗の増加の影響が大きいことが示唆された.
(7)Ultrafine材での疲労き裂初期伝ぱは,粒界のき裂伝ぱ抵抗やき裂の偏向によりき裂伝ぱ速度の低下が観察され,Medium材と比較して低速であった.

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 木村 英彦: "超細粒鋼(SUF鋼)の疲労き裂伝ぱにおよぼす結晶方位および組織の影響"日本機械学会2003年度年次大会講演論文集. 1. 117-118 (2003)

  • [文献書誌] Hidehiko Kimura: "Investigation of Fatigue Crack Propagation Behavior in Ultrafine-Grained Steel by AFM and EBSP"Proceedings of Advanced Technology in Experimental Mechanics. WS0460 (2003)

  • [文献書誌] Hidehiko Kimura: "Microstructural Effects on Initiation and Propagation of small Fatigue Cracks in Ultrafine-Grained Steel"Abstructs of 2nd International ASTM/ESIS Symposium on Fatigue and Fracture. 39-39 (2003)

  • [文献書誌] Hidehiko Kimura: "Fatigue Crack Propagation Behavior in TiNi Shape Memory Alloys"Transaction of the Materials Research Society of Japan. 28. 655-658 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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