研究概要 |
透明耐熱性特殊アクリル製の真空断熱二重配管を使用した,狭まり-広がりノズルを有するマイクロチャンネル内液体ヘリウムの加圧ブローダウン方式によるキャビテーション流可視化試験装置を設計試作し,He Iキャビテーション発生時における超流体対向混相流の非定常温度分布・圧力分布の計測ならびに混相流動場全体の画像計測・解析を行った.具体的にはマイクロ管内部の超流動ヘリウム混相流に関する二次元的計測を行い,流れ場が管壁境界層付近の温度分布に及ぼす影響に関して考察を加えるとともに,最適な冷却効果が得られる流動場の実現法を検証し以下の知見を得た. ● 常流体にマイクロキャビテーションが発生すると,特に気相生成が活発な高ボイド率領域においては,蒸気相生成の際に液相から蒸発潜熱が奪われることにより液相温度がλ点以下まで降下し,He IからHe II(超流体)への相転移が発生し,マイクロ超流動冷却効果が発生すること明らかにした. ● キャビテーション生成に基づくHe IIへの相転移時に生ずる超流体の対向流と,超流体温度こう配に起因する気泡運動を効果的に制御することにより,従来よりも高い冷却効率を有するマイクロ極低温冷却システムの構築が期待できることを明らかにした. ● 液体ヘリウムマイクロキャビテーション流の可視化計測装置を設計・試作し,PIV法を用いた流動場の観測と管内圧力・温度分布の測定を行った.その結果,He Iのマイクロキャビテーション発生時に温度降下が生じHe IIの超流動成分のマイクロチャンネル内流動に起因する流速分布・圧力変動を示すことを確認した.
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