研究概要 |
1.流力音を検出するための簡易無響室(測定室)および排出ダクトを製作した.製作した簡易無響室は,既存の吹出し型風洞の噴出口に連結され,噴流が簡易無響室内(計測空間)に吹出される.計測空間を通り過ぎた流れは,噴出口と反対側に設けられたコレクタおよびダクトを通って排出される.無響室の壁の構造は,室外からの音の遮断と室内の自由音場の形成を目的として,室外側から石膏ボード,空気層,吸音材(グラスウール),石膏ボードおよび吸音材の多層構造とした.ダクト壁面にも吸音材を張り,排出口から進入する音の減衰を図っている.また,コレクタおよびダクトの一部には,壁面上に発達する乱流境界層からの流力音を抑えるために柔毛を張り付けた.噴出口の中心で流速40m/sを作ることができ,無風時の暗騒音が42dB(フラット特性)の風洞システムとなった. 2.流力音を発生させてマイクロホン(騒音計)で計測し,製作した簡易無響室を含む風洞システムの特性の理解と改善を行った.流力音は,簡単なモデルとして,先の尖った2次元突起または円柱を流れ中に挿入して発生させた.これらの流力音の計測実験より,簡易無響室およびダクトの改良・調整を行った.測定した流力音の検証により,突起からのはく離流れからの流力音は,流速と音圧レベルの関係より,2重極音源であることが確認できた.また,円柱からのエオルス音の周波数が一般的に知られているストローハル数によく一致することが確認された.このようなことから,本研究の今後の発展に対応できる,良好な遮音性・吸音性を有する風洞システムであることが確認された.
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