研究概要 |
複雑ポーラス媒体などの非一様媒体中の衝撃波現象を解明するため,三次元的配列あるいは三次元的構造を持つ複雑ポーラス媒体(対象はポリウレタンフォーム及び砂)を通り過ぎる衝撃波,ブラスト波の圧力減衰過程を調べた.空隙率約41〜45%の砂と空隙率95.1〜97.7%の圧縮性・弾性を有するオープンセル型ポリウレタンフォーム中に微小爆薬(アジ化銀,ペンスリット)を設置し,レーザ起爆により発生した爆風及び衝撃波の過剰圧を測定し,複雑媒体中の過剰圧減衰過程の違いを調べる事を目的としている.得られた結果を要約すると以下の様になる.ポリウレタンフォーム及び砂による爆風圧減衰効果について,(1)フォーム及び砂中を伝播する爆風は,急速に減衰し,気中爆発とは異なり負圧領域を伴う直接波による急激な過剰圧力上昇は認められなかった.(2)換算距離の増加に伴って非一様媒体の非定常抵抗により最大過剰圧は減少し,その減少率はアジ化銀起爆では約86%,ペンスリット起爆では約55%であった.(3)砂による過剰圧の圧力減衰係数は,約16〜55%となり,砂の非定常抵抗により圧力拡散された.(4)微小起爆の実験精度を高めた事によって,実スケールの実験評価及び数値流体力学計算の数理モデルを構築する手がかりを得た.ポリウレタンフォームによる衝撃圧減衰効果について,(1)管周辺面でのみ固着させ管端面との間に空間を設けた状態の場合,インパルスは約12%となり,他設置方法と比較して著しく減少し,衝撃波の圧力減衰効果が大きい.(2)準1次元固気二相流近似モデルを用いて,衝撃圧減衰効果をシミュレションが可能である.(3)複雑媒体によって発生する非定常抵抗をForchheimerの式を用いて,Permeability係数βによって生じる運動量減衰効果の影響が大きく,Foam13:β=1.8×10^8[m^<-1>],Foam30:β=5.0×10^8[m^<-1>],Foam50:β=8.0×10^8[m^<-1>]となり,β値は入射衝撃波マッハ数Ms=1.15〜1.5においてほぼ同じ値を取る.
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