研究概要 |
二相流において二種類の流体間の熱や物質移動量を正確に予測することは重要な課題である.とりわけ,二相間を隔てる界面はそれらの移動現象に関して直接的な役割を担う.本研究では界面の流動現象に着目し,気液二相流における球形水滴の界面流動計測技術を構築し,その技術を気液二相流における単一球形気泡の界面流動計測に適用した成果について以下に述べる. (1)単一球形気泡の界面流動計測 気泡界面の流動を計測するために,気泡界面ごく近傍の流動を画像計測し,その速度分布から求まる速度勾配より界面上の速度を外挿して求める方法を用いた.球形の気泡は上昇時に揺らぎや界面の変形は起こらないので,気泡界面位置を正確に決めることができる.実験では,シリコンオイルで満たしたガラス製のテストパイプ(φ31)下部に設けたノズル(φ5)から空気を吹き込み,ノズルから離脱後,単一の球形気泡として上昇し,本助成金で購入した高解像度ビデオカメラで拡大撮影する.本研究では気泡界面ごく近傍の液相側速度分布のみをPTV計測し,その速度勾配から界面上の速度を求めた.その結果,本実験条件における気泡界面流動はHadamardの理論値とよく一致した速度分布であった.また,界面近傍の速度勾配は界面に作用するせん断応力に比例し,その結果もHadamardの理論値とよく一致した. (2)楕円体形状の水滴の界面流動計測 水滴の場合には,水滴内部にも速度計測用トレーサ粒子を混入して,水滴内外から界面流動を求めることができるが,気泡の場合には内部に混入する適切なトレーサ粒子は存在しないためできない.そこで,次年度課題の楕円体形状の気泡計測技術の構築のために,Re数=100程度の楕円体形状水滴の界面流動計測を本計測法により行った.その結果,内部循環流の中心位置が一致する水滴の界面流動は形状の違いによる差異は見られなかった.本計測法を次年度課題に適用予定である.
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