研究概要 |
本研究全体の概要は,鳥の肺内で発生する一方向流れに着目し,一方向流れに及ぼす各種パラメータの影響を明らかにしてその物理モデルを構築すること,さらにその物理モデルを基にヒトの特定の気道部位を接続した形状下で換気効率をシミュレーションすることである.本年度は,鳥の肺を模擬した直角分岐管を経て再び合流するループ状流路に振動流を与え,流量測定,圧力測定,流れの可視化を行った.そしてループ状流路内に生じる一方向流れ(定常流量成分)と分岐下流に接続する配管の流路抵抗との関係を調べた。直角分岐流路の内径は22mm,主管の長さは1000mmとし,分岐下流の本管と支管の長さを1000mm:1000mm,500mm:1000mm,1000mm:500mmの3通りに変化させた.その結果,ループ状流路内に生じる定常流量成分と主管に与える振動流の流量成分との比Rはいずれの流路においても主管内のレイノルズ数の増加とともに増大し,レイノルズ数が約10000以上において一定値に漸近すること(R=0.10〜0.12),またループ状流路に振動流を与えることにより直角分岐の出口に定常差圧成分が発生し,この定常差圧成分が定常流量成分を発生させる要因であることがわかった.さらにこの定常差圧成分と定常流量成分との関係が分岐下流に接続する流路抵抗によって変化することを見いだしそれぞれの関係が振動流の平均動圧を用いて整理されることを示した.また,分岐部の流れを可視化することより,分岐部における定常差圧成分の発生が支管に発生するはく離渦に関係していることを明らかにした.
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