月、惑星表面において、無人探査機を用いて地質探査を行う際、表層に存在する岩などのサンプルを採取し、観測機器で分析することが要求される。サンプルは、レゴリスに埋もれているか、表土上に存在してもレゴリスが付着していることが考えられる。また、長い間の太陽風、宇宙線などの影響により表面が汚染されていると予想される。このため、採取したサンプルは、各観測機で分析する前に、磨く、削るなどの前処理を施す必要がある。本研究では、地表面に存在するサンプルをマニピュレータで採取するためのサンプル認識手法、サンプル採取システムと、採取した地質サンプルの観測前の準備加工技術に関して研究を行う。 本年度は、サンプル採取システムに関しては、サンプル対象の認識、及び、指示システムに関する検討を行った。サンプルの認識のため、空間周波数情報を解析し、ピンぼけなどの不良画像を排除し、被写体の存在を周波数の複雑性から判定した。また、CGを用いたインタフェースを構築し、対象の指示システムを実現した。さらに、観測に際し、観測面の面だしのための岩石掘削法に関する原理的な検討を行った。岩石と工具の接触面を個別要素法を用いてモデル化を行った。そのモデルを用いて、様々な力を加えることで、破壊の状況の進み方の違いに関して検討を進めた。また、繰り返し、大きな力を加える手法として、超音波振動子を使用し、その力をホーンで集約して印可する方式を検討した。その先端部の応力分布解析結果により、接触面での現象の差異に関する検討を進めている。今後、より解析を進め、超音波振動を利用した岩石研削方式に関して、メカニズムの解明と、最適な振動印可方式の決定を行う予定である。
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