研究概要 |
防音壁における制御アルゴリズムを追及するための基礎実験として,500×40×0.5tの振動モードが明確に現れる柔軟性の高いスチンレス板を用いた片持ち梁を製作し,適応フィードフォワード・フィードバック振動制御実験を行った.圧電素子を複数枚貼り付け,制御則と貼り付け位置の,制御効果への影響を明確に把握できた.即ち,フィードバック制御では,圧電素子貼り付け位置に関係無く板全体の制振効果が得られるのに対し,フィードフォワード制御では,振動モードの腹に圧電素子を貼り付けた場合,局所的な制振効果しか得られない事が明らかとなった.従って,フィードバック・フィードフォワード両方の制御則を用いる際の防音壁面に貼り付ける圧電素子の位置は,ここでの制御対象である低域に存在する全ての振動モードの腹になり得ない,壁面固定部(下部)に貼り付ければ良いと言える.そこで,1枚の寸法が1800×1000×50tの透明アクリル板を4枚用いたミニチュア防音壁を製作し,適応制御による遮音性能を調べてみた.路面に見立てた固定台への固定部近傍に圧電素子を複数枚貼り付け,固定台に設置したスピーカから白色雑音を放射し,制御前後の防音壁面の振動防音壁面から放射される騒音の大きさを比較した.1kHzまでの制御周波数帯域において,制御器が適応後,騒音レベルが比較的高い400-500Hz付近で約10dB前後の振動低減効果が得られた.また,放射騒音は,20-50Hz付近で約5dBの抑制効果が確認された.現在,騒音源に移動機構を付加し,移動する騒音源における制御アルゴリズムを検討中である.
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