研究概要 |
電磁障害や放射線障害などの環境障害に強い光サーボシステムは魅力的な制御システムである。我々はこの光サーボシステムの実用化を目指し、光信号を流体の圧力信号に変換する光-流体変換素子や素子の微小差圧を増幅する流体増幅器を開発し、台車の位置決め制御を一例とした光-流体制御システムの開発を行ってきた。 本研究では、従来駆動システムとして使用されている既存のアクチュエータを変更することなく,光サーボシステムを構築するのに必要不可欠な制御機器、つまり、光から流体アクチュエータ駆動圧力まで変換する光-流体制御弁の開発とその性能改善を目的とする。 以前の研究(科学研究費課題番号13750204)で、光信号を流体圧力信号に変換する光-流体変換素子の微小出力圧力を増幅する層流比例形素子の出力流を制御流にフィードバックすることで流体パワーを増幅し、入力光パワーに対してON/OFF動作を行う弁を試作した。また、乱流域でも使用可能な増幅器である付着形流体素子を試作し,光-流体変換素子と組合せることで、流体素子だけで構成される摺動部のない光-流体制御弁を試作した。 本年度は,光-流体変換素子と付着形素子との接続容積を減少させ,光信号入力に対する出力圧力変化の動特性を改善し,ステップ入力に対する応答時間がOn時で82ms, Off時で52msと通常の電磁弁と同程度の性能を有することを確認した。また,出力圧力増幅方法として一般的に用いられる出力流のフィードバックではなく,付着形素子のベント流を交差関係にある制御流にフィードバックすることで流体パワーの増幅が可能となり,昨年度(±80kPa)に比べ1.6倍と,最大±130kPaの出力圧力が得られた。
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