平成16年度は、昨年度に開発した作業動作計測システムを改良し、様々な条件下において多数の作業者の手作業動作の位置・力データを取得し、これらから手作業動作を物理的に解析するための動力学シミュレータを構築することを目的としてきた。そして、このシミュレータを利用して、ロボットへの作業動作プログラムの変換アルゴリズムを導出し、拘束作業を教示するシステムの開発を目標とした。 この目的に沿って、まず、磁気位置センサの追加し、手先だけでなく、肘および肩の位置情報を取得可能なように変更を行った。また、仮想環境内での作業動作情報計測の際に、作業者にとって違和感がないように、視点の変更、仮想腕の表示ができるようモデルを改善した。これらの改良によって、より自然な作業動作環境の提示と、動作特徴を捉えやすいデータ取得が可能となった。 次に、実環境と仮想環境、二つの環境を利用した動作計測環境をこれまでに構築してきたパラレルロボットへのオフライン作業動作教示システムへ統合し、複数の手法から作業動作が入力できるように変更を行った。これによって、遠隔操作によるロボットへの直接教示も行える環境となった。 以上のシステムを使用して、ロボットが拘束作業を実行するための動作コマンド生成が円滑に行うことが可能であるかを検証するために、システムの動作確認実験を行った。ここでは、四つのホールへのピン挿入作業、クランク回転作業、辺合わせ作業の三つの基本作業を取り上げた。この結果、運動・力・コンプライアンスの三つの制御側を適宜使用し、拘束動作を達成できることが確かめられた。 現在は、動力学シミュレータの導入と、人間の動作情報からのロボット動作プログラムの生成手法を検討中である。手先剛性と力の調整を柔軟に行うことが鍵となるのだが、作業毎に変換は可能でも、汎用的に使用可能なアルゴリズムは発見できていない。来年度はここに注力する。
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