研究概要 |
触覚におけるバーチャルリアリティとして,皮膚上に広く分散した分布提示型の触覚提示装置による仮想物体の表面形状,材質,硬さなどの提示が要求されている.触覚を検出する機械受容器は感受範囲,順応速度などにより,4つに分類されている.そのそれぞれで反応周波数が異なり,それぞれの感知範囲に適した提示ユニットを製作することが必要となる. 本研究では,まず,機能性材料を用いた表面提示ユニットの試作機製作の検討を行った.その結果,ピエゾアクチュエータを用いることにより,高周波帯域を実現しつつ,また十分な変位伝達を行うことができることがわかった. そこで,その検討に基づいて,単一ピエゾアクチュエータを用いた触覚提示装置の試作機を製作した.これ単体により,ヒト指皮膚内に存在する機械受容器に表面変化を提示することになる.特に,皮膚表面のせん断変形が表面形状の知覚に大きく影響することから,皮膚表面においてせん断変形を生じやすい構造にした.試作した表面提示ユニットを評価するため,表面形状の静的変化量や動的応答などを定量的に測定した. さらに,被験者による主観的定性的評価を行い,定量的評価と比較した.動作振幅・周波数を変化させ,そのときの触覚知覚について被験者にアンケートを実施した.その結果,過去におけるヒトの触覚に関する研究からも妥当な周波数弁別域が得られ,本研究で試作した触覚提示装置の基本特性が妥当なものであることが確認された.また,構造的な改良について検討し,多自由度化への展開を考察した.
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