研究概要 |
高速ロボットハンドが対象物を捕獲する際には,対象物に適した指形状を生成・維持しつつ対象物にアプローチ(Preshaping動作)することが捕獲成功率の向上において重要なキーとなる.実際のロボットの対象物把握状態を確認するために,1[ms/frame]で撮影可能な高速ビデオカメラにより撮影した高速ロボットハンドによる対象物把握実験の映像の解析を行った.この解析を通じ,高速ロボットハンドが対象物を高速捕獲する際の目標姿勢を,全ての指リンクが対象物と同時に接触する状態と定義した.高速捕獲動作のPreshaping問題は,従来より提案されている物体を把握するための指姿勢を計画する問題に加え,慣性力を考慮した上で指関節の駆動トルクを決定する最適制御問題に帰着する.以上の点を踏まえ,本研究では,はじめに各関節のトルク発生機構を一般化して考え,全指リンクが同時に対象物に接触する状態を捕獲する瞬間のロボットハンドの目標姿勢とし,この目標姿勢を実現するための関節駆動トルクの時間関数を与える問題としてDynamic Preshaping問題を定義し定式化を行った. 次に,高速ロボットハンドの一例として単一ワイヤ駆動方式のロボットハンドを取り上げ,関節駆動トルクへ影響を及ぼす機構パラメータ(プーリ位置,プーリ径,関節バネ,質量,等)を整理するとともに,時間関数として与えたワイヤ張力の元で,目標姿勢を実現するためのパラメータ設計手法について考察した.ここでは,目標姿勢に対する最適制御問題を解くことにより取得したパラメータによるダイナミックシミュレーションを実施し,提案する設計手法の有効性を検証した.
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